黒澤明スペシャル ~全30作品の魅力~シネマ堂本舗 黒澤明スペシャル ~没後10年 全30作品の魅力~4月4日(金) 午後9:00~10:30 4月5日「羅生門」からスタートする黒澤映画全30作放送を前に、黒澤映画の素晴らしさを伝える90分番組。黒澤映画ファンには改めてそのすごさを、知らない人にはその面白さを、30作品の紹介とともに、演出・技術・脚本などさまざまな側面から描いてゆく。司会は山本晋也、関根麻里。ゲストに仲代達矢さんほかを予定。9月6日、黒澤監督の命日に「七人の侍」を放送するが、その前々日に第2弾を放送予定。 ★衛星映画劇場★ 没後10年黒澤明特集 黒澤明監督が1998年に亡くなって10年を迎えた今年、衛星映画劇場では全30作品を4月から12月にかけて放送する。4月は「羅生門」と「用心棒」の放送を予定。 没後10年黒澤明特集 羅生門 1950年・日本 4月5日(土) 午後9:04~10:33 平安時代。都に近いやぶの中で、侍夫婦が盗賊の多襄丸に襲われ、夫は殺されてしまう。捕まった多襄丸と侍の妻・真砂、さらにはイタコを使ってめい界から呼び寄せた侍の霊がそれぞれ事件について語るが、3人の言い分はまるで違っていた。芥川龍之介の短編「藪(やぶ)の中」をベースに人間の心の闇を描いた傑作。ベネチア映画祭でグランプリを獲得し、黒澤明監督の名をはじめて世界に知らしめた記念すべき作品。 <作品情報> 〔製作〕箕浦甚吾 〔監督・脚本〕黒澤明 〔原作〕芥川龍之介 〔脚本〕橋本忍 〔撮影〕宮川一夫 〔音楽〕早坂文雄 〔出演〕三船敏郎、京マチ子、志村喬、森雅之、千秋実、上田吉二郎 ほか (1950年・日本)〔白黒/スタンダード・サイズ〕 没後10年黒澤明特集 用心棒 1961年・日本 4月19日(土) 午後9:04~10:56 縄張りの跡目相続をめぐって、二つの勢力が対立する馬目の宿。人殺しも日常茶飯事になり、すっかり寂れたこの宿場町に、どこからともなく素浪人、桑畑三十郎が現われた。居酒屋の亭主から町の状況を聞いた三十郎は・・・。江戸時代の宿場町を舞台に、まるで西部劇のような設定で見せてくれる痛快アクション。後に『荒野の用心棒』、『ラストマン・スタンディング』と海外でもリメークされた黒澤監督の痛快娯楽時代劇。 <作品情報> 〔製作〕田中友幸 〔製作・脚本〕菊島隆三 〔監督・脚本〕黒澤明 〔撮影〕宮川一夫 〔音楽〕佐藤勝 〔出演〕三船敏郎、仲代達矢、東野英治郎、山田五十鈴 ほか (1961年・日本)〔白黒/レターボックス・サイズ〕 没後10年 黒澤明特集 椿三十郎 1962年・日本 5月3日(土) 午後9:04~10:41 黒澤明監督がメガホンを取った娯楽時代劇の大傑作。真夜中の古びた社殿。次席家老の汚職を正すべく立ち上がったものの、家老の手勢に囲まれた9人の若侍は、偶然居合わせた浪人、椿三十郎の機転で難を逃れる。自分たちの甘さを後悔しながらも汚職を正そうと新たに誓う侍たち。危なっかしい彼らを見捨てておけなくなった三十郎は、彼らとともに巨悪に立ち向かうことに。映画史に残る名シーンとなったラストの殺陣(たて)は必見。 〔製作〕田中友幸 〔製作・脚本〕菊島隆三 〔監督・脚本〕黒澤明 〔原作〕山本周五郎 〔脚本〕小国英雄 〔撮影〕小泉福造、斎藤孝雄 〔音楽〕佐藤勝 〔出演〕三船敏郎、仲代達矢、小林桂樹、加山雄三、団令子、入江たか子、志村喬 ほか (1962年・日本)〔白黒/レターボックス・サイズ〕 没後10年 黒澤明特集 野良犬 1949年・日本 5月5日(月) 午後9:19~11:23 社会的背景を敏感に作品に反映させる黒澤監督が、戦後の荒廃した社会風俗を背景に描いた犯罪映画の傑作。実際にあった事件をヒントに、真夏の暑さの中で拳銃を盗まれた刑事が犯人を追い詰めていく過程を研ぎ澄まされた語り口と巧みな映像表現で見せる。復員列車で同時に帰った男二人が、一人は犯罪者に、一人はその犯罪者を追う刑事になるという設定で、戦争がもたらした精神的な荒廃をも鮮やかに描き出している。 〔製作〕本木荘二郎 〔監督・脚本〕黒澤明 〔脚本〕菊島隆三 〔撮影〕中井朝一 〔音楽〕早坂文雄 〔出演〕三船敏郎、志村喬、淡路恵子、三好栄子、木村功 ほか (1949年・日本)〔白黒/スタンダード・サイズ〕 没後10年 黒澤明特集 姿三四郎 1943年・日本 5月6日(火) 午後9:19~10:39 明治15年、柔術家を目指して上京した姿三四郎は、柔術を近代化した「柔道」を提唱する矢野と出会い、その強さと人柄に感銘を受け弟子入りする。やがて、柔道家として成長し四天王と呼ばれるほどに強くなった三四郎だったが、その強さにうぬぼれ、矢野にいさめられることに。そんな矢野に反発を覚えた三四郎だったが・・・。一人の青年が挫折を経験し、大きく成長する姿を描いた、黒澤明監督の記念すべき監督デビュー作。 〔企画〕松崎啓次 〔監督・脚本〕黒澤明 〔原作〕富田常雄 〔撮影〕三村明 〔音楽〕鈴木静一 〔出演〕藤田進、轟夕起子、大河内傳次郎、月形龍之介、志村喬 ほか (1943年・日本)〔白黒/スタンダード・サイズ〕 没後10年 黒澤明特集 続姿三四郎 1945年・日本 5月7日(水) 午後9:19~10:42 大ヒットした「姿三四郎」の続編として製作された作品。檜垣源之助の柔術をやぶった柔道家の姿三四郎。しかしそのことで柔術がすたれ、多くの柔術家が苦労している事を知り苦悩することに・・・。そんな彼の前に、源之助の弟、鉄心と源三郎が打倒三四郎を胸に上京してくるのだった。物語のクライマックスは雪上での格闘シーン。真冬の志賀高原での撮影に素足で挑んだという主演の藤田進の熱演にも注目。 〔製作〕伊藤基彦 〔監督・脚本〕黒澤明 〔原作〕富田常雄 〔撮影〕伊藤武夫 〔音楽〕鈴木静一 〔出演〕藤田進、大河内傳次郎、月形龍之介、河野秋武 ほか (1945年・日本)〔白黒/スタンダード・サイズ〕 没後10年 黒澤明特集 一番美しく 1944年・日本 5月8日(木) 午後9:19~10:46 太平洋戦争中、女子挺身隊として徴用を受け軍需工場で働く少女たちは、それぞれの思いを胸にしながら国を信じ、懸命に作業にあたっていた。黒澤明監督が、女優たちを本当に稼動している工場に勤めさせ撮影したという半ドキュメンタリー的な作品。戦争中に製作されながらリアリティーを追求し、若者たちの姿を生き生きと描き出し、戦意高揚映画以上の作品となった。主演の矢口陽子は、翌年黒澤監督の妻となった。 〔企画〕伊藤基彦 〔製作〕宇佐美仁 〔監督・脚本〕黒澤明 〔撮影〕小原譲治 〔音楽〕鈴木静一 〔出演〕矢口陽子、入江たか子、志村喬、菅井一郎、清川荘司 ほか (1944年・日本)〔白黒/スタンダード・サイズ〕 没後10年 黒澤明特集 虎の尾を踏む男達 1945年・日本 5月9日(金) 午後9:19~10:20 日本の古典芸能に興味をもっていた黒澤が、能の「安宅」、歌舞伎の「勧進帳」をモチーフに、弁慶の機転で難を逃れる有名な安宅の関の物語を映画化。山道を行く山伏の一行に雇われたおしゃべりな強力は、源頼朝に追われる義経の話しを始めるのだが・・・。狂言回しともいえる強力役は、当時人気絶頂だったエノケンこと榎本健一。弁慶には大御所、大河内傳次郎。長唄の詞の一部をアレンジして合唱曲とした音楽にも注目。 〔製作〕伊藤基彦 〔監督・脚本〕黒澤明 〔撮影〕伊藤武夫 〔音楽〕服部正 〔出演〕大河内傳次郎、藤田進、榎本健一、森雅之 ほか (1945年・日本)〔白黒/スタンダード・サイズ〕 没後10年 黒澤明特集 わが青春に悔なし 1946年・日本 5月10日(土) 午後9:19~11:11 戦前の京大滝川事件や戦中のゾルゲ事件などをモデルに、学生運動の弾圧で獄死した恋人の遺志をついで社会意識にめざめるブルジョワ令嬢の革新的な熱情を描いた黒澤明監督の戦後第1作。学生たちの憧れの的である大学教授の美しい娘・幸枝は貧しい農家出身の反戦運動家・野毛と結ばれるが、野毛は戦争妨害を指導した非国民として逮捕される・・・。黒澤作品に始めて出演した大女優・原節子の熱演が光る。 〔製作〕松崎啓次 〔監督〕黒澤明 〔脚本〕久板栄二郎 〔撮影〕中井朝一 〔音楽〕服部正 〔出演〕原節子、藤田進、大河内傳次郎、杉村春子 ほか (1946年・日本)〔白黒/スタンダード・サイズ〕 没後10年 黒澤明特集 素晴らしき日曜日 1947年・日本 5月24日(土) 午後9:04~10:54 戦後の東京。雄三は、待ちに待った休みの日曜日に、恋人昌子とデートに出かけることに。でも持っているお金は二人合わせて35円。彼らは、このお金をできるだけ有意義に使おうと、迷ったあげく、コンサート会場に足を向けるが・・・。主演に当時無名だった中北千枝子と沼崎勲を抜てきし、敗戦直後の風俗を背景に恋人たちのささやかな日常を描いた作品。脚本は黒澤監督の幼なじみでもある植草圭之助。 〔製作〕本木荘二郎 〔監督〕黒澤明 〔脚本〕植草圭之助 〔撮影〕中井朝一 〔音楽〕服部正 〔出演〕沼崎勲、中北千枝子、渡辺篤、中村是好 ほか (1947年・日本)〔白黒/スタンダード・サイズ〕 没後10年 黒澤明特集 酔いどれ天使 1948年・日本 6月7日(土) 午後9:04~10:43 酒飲みで荒っぽいが純粋な医者・真田。そんな彼のもとへ闇市を取り仕切るヤクザの松永が、銃弾の傷の手当てのために現れた。彼が肺結核に侵されていると気づいた真田は治療を勧めるが、松永は受け入れようとしない。やがて病気と権力闘争に敗れた松永は落ちぶれていく。黒澤・三船の黄金コンビが誕生した記念すべき作品。劇中で笠置シヅ子が歌う「ジャングル・ブギ」は、黒澤監督が自ら作詞している。 <作品情報> 〔製作〕本木荘二郎 〔監督・脚本〕黒澤明 〔脚本〕植草圭之助 〔撮影〕伊藤武夫 〔出演〕志村喬、三船敏郎、木暮実千代、山本礼三郎、千石規子 ほか(1948年・日本)〔白黒/スタンダード・サイズ〕 没後10年 黒澤明特集 静かなる決闘 1949年・日本 6月21日(土) 午後9:04~10:40 戦争中の野戦病院。医者の藤崎は、指先をメスで傷つけたまま手術を続行したために梅毒に感染。薬も満足にない戦地を転々としている内に病気をこじらせてしまう。やがて戦争が終わり、町医者の仕事に戻った藤崎だったが、自分をずっと待っていてくれた婚約者に、病気の事を言い出せず…。戦争の傷あとを独自の視点で切った黒澤作品。三船敏郎が絶望と理性のはざまでかっとうする青年医師を好演。 <作品情報> 〔企画〕本木荘二郎、市川久夫 〔監督・脚本〕黒澤明 〔原作〕菊田一夫 〔脚本〕谷口千吉 〔撮影〕相坂操一 〔音楽〕伊福部昭 〔出演〕三船敏郎、志村喬、三條美紀、植村謙二郎、中北千枝子、千石規子 ほか (1949年・日本)〔白黒/スタンダード・サイズ〕 |